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量と率

目次

背景

  • 量と率がかなり重要な概念でっちゃに使う事があるのでメモ
  • また、率、割合、比の違いなどもまとめる
  • また、量 > 率の簡単な証明を行う

率、割合、比の違い

次のような違いがある。

  • 率(rate)
    • 定義:「注目している量 ÷ 時間」
    • 単位: 率の単位は「注目している量の単位 / 時間」
    • 例:「出生率」= 人/年
  • 割合(proportion)
    • 定義:「注目している量 ÷ 全体の量」
    • 単位: 割合は0から1(0%から100%)の間の値を取る
    • 例:「有病割合」= 人 / 人
  • 比(ratio)
    • 定義:「注目している量A ÷ 注目している量B」
    • 単位: 比は「注目する量A : 注目する量B」の単位を取る
    • 例:「性別比」= 男子 : 女子

なお、合格率などは率と表されるが、「部分 / 全体」なので、厳密には合格割合が正しい。

量 > 率

打席数(量) > 打率(率)

  • 個人的には率より量が大切だと考える
  • つまり、能力(率)より試行回数(量)のほうが大切
  • 一階でも多く打席に経てば、結果的に打率も上がるし
  • 打率より打数、率より量

ヒットを10%で打つには何打席必要かの例:

例えば、野球で能力(打率)が10倍違う選手を仮定する。 その人がそれぞれ10%の確率でヒットを打てるようにするには次の打数が必要になる。 それを計算すると以下。

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from math import log, ceil

# 打率の設定
p_a = 0.50  # 5割
p_b = 0.05  # 0.5割

# 少なくとも1回はヒットが出る確率を0.1%と仮定
target_probability = 0.1

# nを求めるための方程式: 1 - (1 - p)^n = target_probability
# n = log(1 - target_probability) / log(1 - p) を計算
n_a = ceil(log(1 - target_probability) / log(1 - p_a)) 
n_b = ceil(log(1 - target_probability) / log(1 - p_b)) 

n_a # ===>  1
n_b # ===> 3

計算結果をまとめると次になる。

  • 打率が5割の選手
    • 1打席必要
    • つまり、打率が5割の選手が少なくとも1回のヒットを打つ確率を10%にするためには1打席必要
  • 打率が0.5割の選手
    • 3打席必要
    • つまり、一方で、打率が0.5割の選手が少なくとも1回のヒットを打つ確率を10%にするには3打席必要

つまり、5割と0.5割りの選手では、10%の確率でヒットをするのに必要な打席数は1打席と3打席であり、そこまで差はない。

単純に能力が10倍違う場合でも、マグレヒットを狙うなら、バッターボックスに立った回数が大切という事。 それを図として以下に示す。ちなみに、計算は幾何学分布の計算になる。

1本のヒットを出す確率

ビジネスでの量 > 率・平均

ビジネスの現場では次のような数字を使う。 いろいろな切り口・方向から、売上を見ることができる。

  • 売上=客数 × 客単価
  • 売上=見込み客数 × 契約率 × 客単価
  • 売上=社員数 × 1人当たり売上

ここで疑問があがる。どの変数にフォーカスするべきか。

  • 例えば、見込み客数×契約率×客単価と言う公式で考える
  • 見込み客数は「量」だが、契約率・客単価は、「率・平均」に分類できる
  • ここで、分かれ道が出てくる
  • 量を上げるべきなのか、率・平均を上げるべきなのかという議論

結論は、母数である「量」が増えないことには、いかに率・平均を上げても、実数は増えない。 例えば、会社全体の売上で考えたとき、もし仮に契約率を50%→60%に上げる、客単価を変えないとすると、次の事が言える。

  • 見込み客数1000件の場合と、見込み客数500件の場合であれば、
  • 同じ契約率を10%上げるとしても、
  • 契約件数は+100件と+50件で、効果は2倍違う

つまり、量を優先しその後に率を上げた方がいいという事。

AIのモデルの賢さ

  • 機械学習のモデルの賢さも量が圧倒的
  • LLMやMMMは穴埋め問題をひたすら解いて学習している
  • 量が質に転化されると言う事

パイを大きくする

  • 一人でやるよりチームビルディングをして徒党を組むのが正しい
  • 一人で1000万円稼ぐより、2人で1億円稼ぐ方が良い
  • 結果的に5000万円稼いでいる事になる
  • つまり、分母、量を大きくするのが大切

面を取るか掘り下げるか

次の2つの有名な言いまわしがある。

  • 面を取る
  • 掘り下げる

この2つは、本質的に量と率に関係する。
面を取り量を取るのさ最優先。
面を取った後に、掘り下げると、余計に面を取れる事になるから。
また、面があるからこそ、どこを掘り下げるかの議論の価値も生まれる

まとめ

  • 言いたかった事は量 > 率
  • そして、打席にひたすら立ってバットを振る事が大切
  • つまり、ヒットを打つには、能力より試行回数の方が大切
  • 量 > 律は言い換えると、努力 > 才能
  • ピカソだって生涯1万点の作品を生み出したから、結果的にヒットが生まれた

参考文献

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