Background
- 仕事でメカトロニクスの理解が必要になった
- 昔習ったが、もう電気を全く覚えていない
- また、電子工作系の知識も不足している
- 漏電して感電するのも怖いので改めて学習した
電気とは
電気は、電子という小さな粒の動きに関係している。 とくに金属の中では、電子が動きやすく、その流れを利用したものが電気である。
水にたとえると分かりやすい。
- 電流 = 水の流れる量
- 電圧 = 水を押し出す力
- 抵抗 = 水の流れにくさ
まず覚える3つ
1. 電流(A)
電気がどれくらい流れているかを表す。 単位は アンペア(A) である。
- たくさん流れる → 電流が大きい
- 少ししか流れない → 電流が小さい
2. 電圧(V)
電気を押し出す力である。 単位は ボルト(V) である。
乾電池1本は約 1.5V である。 家庭のコンセントは日本では普通 100V である。
3. 抵抗(Ω)
電気の流れにくさである。 単位は オーム(Ω) である。
- 抵抗が大きい → 電気が流れにくい
- 抵抗が小さい → 電気が流れやすい
いちばん大事な式
これが電気の基本中の基本である。
V = I × R
- V:電圧
- I:電流
- R:抵抗
これを オームの法則 という。
たとえば、
- 電圧 10V
- 抵抗 5Ω
なら、
- 電流 = 10 ÷ 5 = 2A
となる。
電力と電力量
電力とは?
電気がどれだけ仕事をするかを表すものである。 単位は ワット(W) である。
式は以下である。
P = V × I
- P:電力
- V:電圧
- I:電流
たとえば、
- 100V
- 2A
なら、
- 100 × 2 = 200W
である。
これは「その機械が200W分のエネルギーを使う」という意味である。
電力量とは
電力量との違いは以下の通りである。
- 電力(W):瞬間の強さ
- 電力量(Wh, kWh):どれだけ使ったか
例: 1000Wの電子レンジを1時間使うと 1000Wh = 1kWh となる。
直流と交流
直流(DC)
電気が一定の向きに流れるものである。
例:
- 乾電池
- モバイルバッテリー
交流(AC)
電気の流れる向きが周期的に入れ替わるものである。
例:
- 家庭のコンセント
回路とは
電気は、ぐるっと一周できる道がないと流れない。 この電気の通り道を 回路 という。
- スイッチON → 道がつながる → 流れる
- スイッチOFF → 道が切れる → 流れない
直列回路と並列回路
直列回路
部品を1本の道に一直線につないだ回路である。
例: 電池 → 抵抗1 → 抵抗2 → 戻る
特徴
- 電流はどこでも同じである
- 電圧は分かれる
- 抵抗は足し算になる
公式 合成抵抗 = R1 + R2 + …
直列回路の例
2Ωと3Ωの抵抗を直列につなぐと
合成抵抗 = 2 + 3 = 5Ω
10Vをかけると
$$ I = 10 / 5 = 2A $$
各抵抗にかかる電圧は
- 2Ωの抵抗:V = 2A × 2Ω = 4V
- 3Ωの抵抗:V = 2A × 3Ω = 6V
合計すると 4V + 6V = 10V となる。
並列回路
部品を枝分かれするようにつないだ回路である。
特徴
- 電圧はどの枝でも同じである
- 電流は分かれる
- 抵抗は小さくなる
公式
$$ 1/R = 1/R1 + 1/R2 + … $$
2つだけなら
$$ R = (R1 × R2) / (R1 + R2) $$
並列回路の例
例
6Ωと3Ωを並列につなぐと
$$ 1/R = 1/6 + 1/3 = 1/6 + 2/6 = 3/6 = 1/2 $$
だから
$$ R = 2Ω $$
である。
ショート(短絡)とは?
抵抗がほとんどない道ができて、電気が一気に流れすぎる状態である。 とても危険で、発熱や故障、火災の原因になる。
基本的なイメージ
まずの理解として大事なこと
電気の基礎は、まずこの4つを押さえるとかなり楽になる。
- 電圧 = 押す力
- 電流 = 流れる量
- 抵抗 = 流れにくさ
- 電力 = 使うエネルギーの大きさ
すごく簡単なイメージ
乾電池と豆電球をつなぐと光るのは、
- 乾電池が電圧をかける
- 回路がつながる
- 電流が流れる
- 豆電球がその電気を光と熱に変える
からである。
抵抗
リアクタンス
交流での「流れにくさ」のうち、 コンデンサやコイルによるものをリアクタンスという。
コンデンサとコイルの対比:
- コンデンサ:
- 電気をためる、変動をならす
- 電圧の変化を嫌う
- コイル:
- 電流変化を抑える、磁気を使う
- 電流の変化を嫌う
慣用電流
電子が見つかる前に、先に「電流はこの向き」と約束してしまったから、実際に動いている電子とは逆向きで表現もする。
- 電流は、回路図や式の世界では + → -
- 電子は、金属の中では実際には - → +
極性
向きがある部品のプラス・マイナス、または電流の向きのこと
LED
LEDは極性がある。
- アノード:プラス側
- カソード:マイナス側
見分け方:
- 足が長い方がアノード
- 本体の平らな切り欠き側がカソード
回路記号では、ダイオード記号に光の矢印がついた形。
ダイオード
- 電流を一方向に流しやすくする部品
- 本体の線が入っている側がカソード
電解コンデンサ
- 極性あり
- 本体の帯表示は、たいていマイナス側
- 逆接続すると劣化、発熱、破損の危険がある
部品の役割
抵抗
役割:
- 電流を流れにくくする
- 電圧を分ける
- 信号の状態を安定させる
代表例:
- LEDに電流を流しすぎないための電流制限
- スイッチ入力のプルアップ・プルダウン
コンデンサ
役割:
- 電気を一時的にためる
- 電圧の変動をならす
- ノイズを減らす
よくある使い方:
- 電源の近くに置いて電圧を安定させる
- スイッチのチャタリング対策
- タイマー回路
電圧の揺れを吸収する部品。
ダイオード
役割:
電流を一方向にだけ流しやすくする
よくある使い方:
- 逆接続保護
- 整流
- モータやリレーの保護
逆流防止弁である。
トランジスタ
役割:
- 小さい信号で大きい電流を扱う
- スイッチとして使う
- 増幅する
よくある使い方:
- マイコンの出力だけでは足りない電流で
- モータを回す
- リレーを動かす
- LEDをたくさん点灯させる
電子的なスイッチである。
IC
役割:
複数の機能がまとまって入った部品
例:
- 555タイマ
- オペアンプ
- ロジックIC
- マイコン
一言でいうと: 機能のかたまりである。
回路図
- 部品をどうつなぐかを、記号で表した図である。
- 実物の見た目ではなく、どことどこが電気的につながっているかをみる
最低限読むべき記号
電源:
- VCC, VDD, +5V, +3.3V など:プラス電源
- GND:基準電位。一般にはマイナス側や0V扱い
抵抗:
- ジグザグ、または四角記号
コンデンサ:
- 2本線
- 極性ありは片側に+表記があることもある
ダイオード・LED:
- 向きがある
- LEDは光を表す矢印つき
スイッチ:
- 開く・閉じる接点
回路図の見方のコツ
- 線がつながっているかを見る
- 点がある交点:つながっている
- 点がない交差:つながっていないことが多い
電源で最初に見る項目
- 必要電圧は何Vか
- 最大電流はどれくらい必要か
- ACかDCか
- 極性は合っているか
抵抗
気にするもの:
- 抵抗値(Ω)
- 定格電力(W)
電力はたとえば
- P = V² / R または
- P = I²R
で計算する。
例: 100Ωに5Vかかると
$$ P = 25 / 100 = 0.25W $$
コンデンサ
気にするもの:
- 容量
- 耐圧
たとえば5V回路なら、耐圧6.3Vでも理屈上は使えるが、10Vや16Vなど余裕を持たせることが多い。
トランジスタ・IC
気にするもの:
- 最大電圧
- 最大電流
- 消費電力
- 入力電圧範囲
最初は、 「絶対最大定格を超えない」 だけでもかなり重要である。
テスターの使い方
まず使う3機能
電圧測定
何を見るか:
- 電池が生きているか
- 電源が出ているか
- 部品の両端に何Vかかっているか
使い方:
- 並列につなぐ
- 赤を測りたい点、黒をGNDへ置くことが多い
導通チェック
何を見るか:
- 線がつながっているか
- はんだ不良がないか
- ショートしていないか
使い方:
- 電源を切ってから測る
抵抗測定
何を見るか:
- 抵抗値が正しいか
- 断線していないか
使い方:
- 通電中は基本測らない
- 回路につながったままだと正しく測れないこともある
電流測定は少し注意
- 電流を測るときは、テスターを直列に入れる必要がある。
- ここを間違えて、電源に並列で当てるとショートに近い状態になって危険である
フローティング
用語
- 開放:電気的につながっていない状態
- フローティング:電圧が決まらず、ふわふわ不安定な状態
- ハイインピーダンス(Hi-Z):その端子がほとんど電流を流さず、回路に強く影響を与えない状態
- プルアップ:弱くVcc側につないで、何もしていないときにHighになるようにする
- プルダウン:弱くGND側につないで、何もしていないときにLowになるようにする
浮いているとはなにか
浮いている状態とは、その点の電圧がHighでもLowでもはっきり決まっていない状態。
そのとき、その入力は
- たまたまHighっぽく見える
- たまたまLowっぽく見える
- 周囲のノイズでころころ変わる
ということが起こる。
これをフローティングしているという。
フローティングとは
フローティングは、そのノードの電位がどこにも固定されず、宙ぶらりんな状態である。
たとえばこういう回路である。
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この回路でスイッチがOFFだと、入力ピンはVccにもGNDにもつながっていない。すると入力ピンの電圧は決まらず、浮く。
その結果、
- 誤動作する
- ノイズを拾う
- 触ると値が変わる
といったことが起こる。
開放とは
開放とは、文字通り回路がつながっていない状態である。 英語では open, open circuit という。
たとえばスイッチOFFで線が切れている状態は開放である。
ただし重要なのは、
- 開放 = つながっていない
- フローティング = 電圧が決まらず不安定
であり、似ているが同じ言葉ではない。
ハイインピーダンス(Hi-Z)とは
ハイインピーダンスとは、その端子がほとんど電流を流さない、非常に抵抗が大きいように見える状態。
通常の出力ピンは
- Highを出す
- Lowを出す
のどちらかで、回路をぐっと引っ張る。
しかしHi-Zでは、
- Highにも引っ張らない
- Lowにも引っ張らない
- ほぼ切り離されたように振る舞う
という状態になる。
プルアップとは
プルアップとは、対象の点を抵抗を通してVcc側へつなぐことである。
こうすると、何もしていないときはその点がHighになる。
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- スイッチOFF
- → 抵抗を通してVccにつながる
- → 入力はHigh
- スイッチON
- → GNDに直結される
- → 入力はLow
プルダウンとは
プルダウンとは、対象の点を抵抗を通してGND側へつなぐことである。こうすると、何もしていないときはその点がLowになる。
回路イメージ
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- 動き
- スイッチOFF
- → 抵抗を通してGNDにつながる
- → 入力はLow
- スイッチON
- → Vccにつながる
- → 入力はHigh
つまり、通常時はLow、押したらHighになる。
