目次
Background
- 電子工作をする前にする事をまとめたくなったのでまとめた
- たまに忘れるので、ちゃんとCheckしながらやるのが一番
使っている機器
ものさし系だと以下を使っている。
- HIOOKI DT4282のテスター
- RIGOL DHO914のオシロ・ロジックアナライザ
- mitutoyoの定規
- mitutoyoのノギス
- ボッシュのレーザー測定器
検査項目
部品の整理・確認
電子工作では、実装や通電検査の前に、まず部品を整理する。
ここを雑にすると、あとで「回路は合っているのに部品が違った」という面倒なミスが起きる。
BOMと部品を照合する
- 部品がすべて揃っているか
- 型番が合っているか
- 数量が足りているか
- 代替部品を使う場合、仕様に問題がないか
部品を種類ごとに分ける
- 抵抗
- コンデンサ
- IC
- ダイオード
- LED
- コネクタ
- スイッチ
- ネジ・スペーサーなどの機構部品
値が似ている部品を分けておく
- 1kΩ / 10kΩ / 100kΩ
- 100nF / 1uF / 10uF
- 3.3Vレギュレータ / 5Vレギュレータ
- NPN / PNP
- Nch MOSFET / Pch MOSFET
- ショットキーダイオード / ツェナーダイオード
向きがある部品を確認する
- ICの1番ピン
- ダイオードのカソード
- LEDの極性
- 電解コンデンサの極性
- トランジスタやMOSFETのピン配置
- コネクタの向き
実装順を決める
- 背の低い部品から実装する
- 抵抗、ジャンパ、ダイオードなどから始める
- ICソケットや小型部品を先に実装する
- 背の高い部品、コネクタ、大型コンデンサは後にする
- 放熱板やケースと干渉しそうな部品は位置を確認してから実装する
紛らわしい部品は袋やトレーにラベルを付ける
- 抵抗値
- 容量
- 型番
- 実装位置
- 極性
- 注意点
実装済みの部品をチェックする
- 実装した部品をBOMや回路図上で消し込む
- 似た値の部品をまとめて実装しない
- 疲れてきたら一度止める
- 不安な部品は実装前にテスターで確認する
抵抗・ダイオード・LEDは必要に応じて測定してから実装する
- 抵抗値をマルチメーターで確認する
- ダイオードの向きをダイオードチェックで確認する
- LEDの発光色や極性を確認する
- 不明な部品は型番を調べてから使う
通電前に確認すること
火入れの前の確認はかなり重要。
この時点で短絡や極性ミスを見つけられると、部品を壊さずに済む。
基板の外観確認
- はんだブリッジがないか
- はんだ不良、未はんだ、浮きがないか
- 部品の向きが合っているか
- IC
- ダイオード
- LED
- 電解コンデンサ
- レギュレータ
- コネクタ
- 部品の定数が合っているか
- 抵抗値
- コンデンサ容量
- プルアップ抵抗
- 分圧抵抗
- フラックスや金属くずが残っていないか
電源ラインの短絡確認
- VCC - GND 間が短絡していないか
- 3.3V - GND 間が短絡していないか
- 5V - GND 間が短絡していないか
- 電源入力 - GND 間が短絡していないか
- レギュレータの IN/OUT/GND のピン配置が合っているか
テスターでの導通確認
- GND同士がちゃんとつながっているか
- 電源ラインが想定通りにつながっているか
- 隣接ピンが意図せず導通していないか
- コネクタのピン配置が回路図と一致しているか
- スイッチ、ジャンパ、ヒューズ、0Ω抵抗の導通が正しいか
抵抗値の確認
- 電源ラインとGND間の抵抗が極端に低くないか
- プルアップ・プルダウン抵抗の値が想定通りか
- 分圧回路の抵抗比が合っているか
- シャント抵抗を使っている場合、値が合っているか
ダイオードチェック
- ダイオードの向きが合っているか
- LEDの向きが合っているか
- 保護ダイオード、TVS、ショットキーバリアダイオードの向きが合っているか
- ICの電源-GND間に明らかな異常がないか
初回通電時に確認すること
初回通電では、いきなり大電流を流さない。
できれば電流制限付きの安定化電源を使う。
電源投入前
- 電流制限を低めに設定する
- いきなりUSBや大電流電源につながない
- 可能なら消費電流の目安を事前に考えておく
通電直後の確認
- 異臭がしないか
- 発熱している部品がないか
- LEDが想定外に点灯していないか
- 電源電流が想定範囲内か
- レギュレータが異常に熱くないか
各電源電圧の確認
- 入力電圧
- 5V
- 3.3V
- 1.8Vなど、使っている電源レール
- マイコンのVCC
- センサやモジュールの電源ピン
電源投入順序の確認
- 複数電源がある場合、想定通りの順番で立ち上がるか
- ENピン、RESETピンが正しく動いているか
- 電源ON直後に不安定な電圧が出ていないか
オシロスコープで確認すること
マルチメーターでは平均的な電圧しか見えない。
電源の立ち上がり、リップル、瞬間的な電圧降下はオシロスコープで確認する。
電源波形
- 電源投入時の立ち上がり
- リップル
- 瞬間的な電圧降下
- レギュレータ出力の発振
- 負荷変動時の電圧変化
クロック
- 水晶発振子・発振器が動いているか
- 周波数が想定通りか
- 振幅が足りているか
- ノイズが大きすぎないか
リセット信号
- 電源投入時にRESETが正しく入るか
- RESET解除のタイミングが正しいか
- RESETピンが浮いていないか
通信信号
- UARTのTX/RXが出ているか
- I2CのSCL/SDAが動いているか
- SPIのSCK/MOSI/MISO/CSが動いているか
- 信号レベルが3.3V系か5V系か
- プルアップ抵抗が効いているか
ロジックアナライザーで確認すること
ロジックアナライザーは、通信の中身やタイミングを見るのに便利。
「信号が出ているか」だけでなく、「正しいタイミングで正しいデータが出ているか」を確認する。
デジタル信号の流れ
- マイコンから信号が出ているか
- センサやICから応答が返っているか
- CSやENのタイミングが合っているか
- 割り込み信号が発生しているか
I2C
- アドレスが合っているか
- ACKが返っているか
- クロック周波数が想定通りか
- バスがLowに張り付いていないか
- SDA/SCLが逆になっていないか
SPI
- クロック極性・位相が合っているか
- CSのタイミングが正しいか
- MOSI/MISOのデータが想定通りか
- 通信速度が速すぎないか
UART
- ボーレートが合っているか
- TX/RXが逆になっていないか
- 電圧レベルが合っているか
- 文字化けしていないか
よくあるミス
- 電源とGNDの逆接
- ICの向き違い
- LEDやダイオードの向き違い
- 電解コンデンサの極性違い
- 抵抗値の取り違え
- コンデンサ容量の取り違え
- プルアップ抵抗の付け忘れ
- I2CのSDA/SCLの入れ替え
- UARTのTX/RXの入れ替え
- SPIのMISO/MOSIの入れ替え
- 3.3V系ICに5V信号を入れている
- コネクタのピン番号を表裏で逆に見ている
- GNDをつなぎ忘れている
- はんだブリッジ
- 未実装ジャンパ・0Ω抵抗の見落とし
- ジャンパ設定の間違い
- ファームウェアを書き込む前提のピンを別用途に使っている
測定時の注意
- 電流測定レンジのまま電圧を測らない
- 電流測定は回路に直列に入れる
- 抵抗・導通・ダイオードチェックは電源OFFで行う
- オシロスコープのGNDクリップの接続先に注意する
- プローブのGNDリードを長くしすぎない
- まずは大きい時間軸・電圧レンジから見る
- 信号を見る前に、電源が正常か確認する
- 異常があったらすぐ電源を切る
自分用チェック表
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 部品整理 | BOMと部品を照合したか |
| 部品の向き | IC、ダイオード、LED、電解コンデンサの向き |
| 外観 | ブリッジ、未はんだ、部品向き |
| 電源-GND | 短絡していないか |
| 導通 | GND、電源、コネクタが想定通りか |
| 抵抗値 | プルアップ、分圧、シャント抵抗など |
| 電源電圧 | 5V/3.3Vなどが正常か |
| 消費電流 | 想定範囲内か |
| 発熱 | 異常発熱がないか |
| 電源波形 | リップル、電圧降下、発振がないか |
| クロック | 発振しているか |
| RESET | 正しく解除されるか |
| UART | TX/RXが出ているか |
| I2C | ACKが返るか |
| SPI | CS/SCK/MOSI/MISOが正しいか |
手順
基本的には、次の順番で見る。
- 部品を整理してBOMと照合する
- 実装順を決める
- 部品の向きや定数を確認しながら実装する
- 実装した部品をBOMや回路図上で消し込む
- 目視確認する
- 電源OFFで導通・抵抗確認をする
- 電流制限をかけて初回通電する
- 電源電圧を確認する
- 発熱・異臭・異常電流を確認する
- オシロスコープで電源波形を見る
- クロック・RESETを見る
- ロジックアナライザーで通信を見る
- ファームウェアを書き込んで動作確認する
- 問題があれば、電源 → クロック → リセット → 通信 → ソフトの順で切り分ける
メモ
電子工作で一番怖いのは、原因が分からないまま何度も通電して壊すこと。
動かないときは、いきなりソフトを疑うより先に、まず電源を見る。
電源が正しくて、クロックがあって、リセットが解除されていて、通信線が動いているなら、そこからソフトや設定を疑う。
逆に、電源が怪しい状態で通信やファームウェアを追いかけると、かなり時間を溶かす。
なので、基本は以下の順で切り分ける。
- 部品が合っているか
- 実装が合っているか
- 電源が正しいか
- クロックが動いているか
- リセットが解除されているか
- 信号が出ているか
- 通信の中身が正しいか
- ソフトウェアの設定が正しいか
ハードの確認を飛ばしてソフトを疑うと、だいたい沼る。
