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見えるか見えないかが問題

目次

概要

  • 問題解決の最初の一歩は「見えるか、見えないか」にある
  • つまり、問題の「見える化」が大切という事
  • 可視化と混同されがちだが、大事な概念なのでまとめる

見える化

見える化とは

  • 製造プロセスの各ステップを視覚的に表現し、管理しやすくする手法
  • 「見える化」はトヨタ自動車の岡本渉氏が1998年に発表した「生産保全活動の実態の見える化」という論文の中で初めて用いられたといわれている
  • これは工場の生産ラインで異常が発生した際に、すぐに異常の発生を周囲に伝えるだけでなく、どんな種類の異常が発生したのかが瞬時にわかるような仕組みを「見える化」としている

見える化の定義

2006年1月1日、当時のトヨタの社長だった渡辺捷昭が、年頭所感の表明で「見える化」の意味を次のように説明した。

「問題を明らかにして、前景に出す」 identifying problems and bringing them to the foreground.と訳された。

見える化と可視化の違い

  • 見える化(Visual control)
    • 捉えにくいある事象や結果を絶対的・強制的に知覚させるための仕組み
    • 「見えないでいたものを見えるようにする」という意味
    • 1990年代頃から使われている言葉
  • 可視化(Visualization)
    • 目で捉えにくいある事象を目で見て分かりやすい形に表現すること
    • また見える化に対し、必要な時に情報・データを確認できる仕組み
    • 「見ようとするものを見ることができる」という意味
    • 1950年代頃から使われている言葉

見える化と可視化の違い

工場の見える化の例

  • アンドン(Andon)
    • これは製造ライン上の問題をリアルタイムで表示するシステム
    • 何か問題が発生した場合、作業員はアンドンコードを使用して、問題の種類と位置を明示し、すぐに対応ができるようにする
    • パトライトが有名
  • カンバン(Kanban)
    • 在庫管理と生産プロセスを視覚化する手法
    • カンバンは「信号カード」や「指示カード」として機能し、必要な部品や素材がいつ、どれだけ必要かを示す
    • これにより、過剰生産や在庫不足を防ぐ
    • boardとも言われる

パトライト

PMにおける可視化の例

  • PM(プロジェクトマネジメント)での見える化の一番有名な物はUML(Unified Modeling Language)
  • システム構成図やRDBのER図(Entity Relationship Diagram)などはよく使われる
  • また、WBS(Work Breakdown Structure)やガントチャートでスケジュールの可視化をよく行う

WBS

見えるのが最初

問題解決には次のようなフローがある。
一番最初のきっかけは見える事。

  1. 見える
  2. 気づく
  3. 考える
  4. 動く

見える化が第一ステップ

オフィスでの見える化

  • デスクトップでのタスク整理には、ブギーボードや電子メモパッドが優秀
  • 電力消費もせず、常に見える化してくれるため
  • 個人的にはキングジムのbb-17を愛用している

ブギーボード

まとめ

  • 人間という炭素系生成AIにおいては、Short term memoryはたかだが1分程で消える
  • そして意識的な記憶も、数日後にはだいたい忘却してしまう
  • 故に意識的・無意識的に何度も記憶を呼び起こす必要がある
  • 例えば、エビングハウスの忘却曲線なども反復した脳への刺激の有効性を示している
  • また、潜在的な問題・課題に対して意識をアンカリングする必要がある
  • そこで、見える化で視覚情報を使うのが一番
  • 人間は無意識で80%は視覚情報から情報を得るように出来ている
  • 視覚情報は後頭葉や前頂葉までニューロンが伝わり前頭葉に進む
  • つまり、脳の神経細胞の全体を刺激する活動であると言う事
  • 故に、情報を視覚という界面を通して、脳に刺激を与え続けるのが効果的
  • 見える事が脳をコントロールするための最初の一歩
  • 具体化したり、分解したり、整理したりするなどの高度な脳の処理はその後の作業
  • 最初は見える化して目前の問題や課題に気付くのが一番
  • 故に、常に目に入るようにして、視覚野に反復して無意識に刺激を与え続けるのが大切
  • 英語だって、見るの単語の「see」で理解するという意味もある
  • 意識的に見るlookではなく、無意識的に目に入るseeが大切
  • つまり、To see, or not to see, that is the question.と言う事
  • 問題解決は認識から始まるという事

参考文献

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