目次
背景
- プログラムでの計算で確率を使うことは多い
- しかし、高校の時にやった確率をほとんど忘れてしまった
- すると計算が必要な時に困るので改めて復習した
- また、データ処理で特に間違いやすかったメモも入れた
場合の数
場合の数とは
- 場合の数とは、ある事柄の起こり方が何通りあるかを数えた数のこと
- 例えば、サイコロを1回振ったときに出る目は1〜6の6通りで、これが「サイコロの目の出方の場合の数」
- 「偶数の目が出る」という事柄に限れば、2・4・6の3通りなので、この事柄の場合の数は3
- 確率を求めるには、まずこの場合の数を正確に数えられる必要があるため、樹形図・和の法則・積の法則・順列・組合せといった数え方を先に整理する
ラプラスの定義
- 場合の数を使った、確率の最も基本的な定義がラプラスの定義
- 全ての場合が同様に確からしいことが前提になる
試行・事象・余事象
試行とは
- 試行とは、サイコロを振る・カードを引くといった、結果が偶然によって決まる行為や実験のこと
事象とは
- 事象とは、試行の結果として起こりうる事柄のことで、標本空間(全事象)の部分集合にあたる
- 例えば「サイコロを振って偶数の目が出る」も1つの事象
- 事象$A$・事象$B$のように、アルファベットで名前をつけて表すことが多い
余事象とは
- 事象$A$が起こらない事象を余事象と呼び、$\bar{A}$(または$A^c$)と書く
- 具体的な計算例は後述の余事象のセクションで扱う
樹形図
- 場合の数を数える基本は、樹形図で枝分かれを全て書き出すこと
- 樹形図を一般化した数え方が、次の和の法則と積の法則
和と積の法則
和の法則
- 事象$A$がm通り、事象$B$がn通りで、$A$と$B$が同時には起こらないとき
- $A$または$B$の起こり方は$m+n$通り
積の法則
- 事象$A$の起こり方がm通り
- その各々に対して事象$B$の起こり方がn通り
- $A$の後に$B$が続けて起こる場合の数は$m \times n$通り
- 例: サイコロを2回振るときの目の出方は、$6 \times 6 = 36$通り(積の法則)
包除原理(Inclusion-Exclusion)
- 和の法則は、$A$と$B$が排反(同時に起こらない)であることが前提
- $A$と$B$が重なりうる場合は、重複分を引く必要がある
- 例: トランプ1枚を引いて「ハートが出る」(13通り)か「ジャックが出る」(4通り)の場合の数は、ハートのジャック(1通り)が重複するため、$13+4-1=16$通り。単純に$13+4=17$通りとするのは誤り
階乗
- $n!$は、$n$から$1$までを全て掛け合わせたもの
- 定義は以下
- 便宜上、$0! = 1$と定義される
順列(Permutation)
順列の定義
- 異なる$n$個から$r$個を選んで、順序をつけて並べる場合の数
- 定義は以下
- 並び方が違えば別の場合として数える
- 例: A・B・Cの3人から2人を選んで1列に並べる場合、AB・BA・AC・CA・BC・CBの6通り(${}_3P_2 = 6$)
順列の定義の意味
- たとえば、A・B・Cの3人から2人を選んで、1列に並べるとする
- 3x2=6の6通りになる
- 「最初の選択が3通りあり、そのそれぞれについて次の選択が2通りあるなら、全部で $3\times2$ 通り」
- これを一般化して、異なる $n$個から$r$個を選んで並べる
- 1番目はn通り
- 1つ使ったので、2番目はn-1通り
- さらに1つ使ったので、3番目はn-2通り
- そして、r番目まで来ると、$n-r+1$通りまで残っている
- では、なぜ階乗になるのか?
- 順列で欲しいのは、途中のところまで
- 例えば、7P3なら、7x6x5までほしい
- しかし、7!での余計な4x3x2x1を除く
- 従って、以下になる
- これをnとrで一般化すると、以下になる
- だから、両辺を $(n-r)!$ で割ると、以下になる
例:順列
問題: 1〜9の数字が1つずつ書かれた9枚のカードから3枚を選んで並べ、3桁の整数を作る。何通りできるか?
「9個から3個選んで順序をつけて並べる」ので、そのまま順列の定義に当てはまる。
$$ {}_9P_3 = 9 \times 8 \times 7 = 504 $$同じものを含む順列
- $n$個のうち、同じものがそれぞれ$p$個、$q$個、$r$個…ずつ含まれるときの並べ方
- 定義は以下
- 全部を区別して並べる${}_nP_n = n!$通りから、同じもの同士の並び替え分を割って重複を消しているイメージ
組み合わせ(Combination)
組み合わせの定義
- 異なる$n$個から$r$個を選ぶ場合の数(順序は区別しない)
- 定義は以下
- 順列${}_nP_r$を、選んだ$r$個の並び替え分($r!$通り)で割ったものがCのイメージ
- 例: A・B・Cの3人から2人を選ぶだけなら、AB・AC・BCの3通り(${}_3C_2 = 3$)、並び順は数えない
コンビネーションの表記の違い
- 高校では${}_nC_r$と書くが、大学以降や海外の教科書では二項係数の表記を使うことが多い
- 定義は同じで、記号が違うだけ
- 読み方は「$n$ choose $r$」($n$個から$r$個選ぶ)
- 縦に$n$、$r$を並べて大きい括弧で囲む書き方で、割り算の記号は書かない
順列かコンビネーションかの見極め方
- 判断基準は、「入れ替えたら別物になるかどうか」
- 定義的に、順列はnPr、組み合わせはnPr/r!となっている
- 組み合わせはr!分だけ重複を取り除いている
- 例
- 「5人から委員を2人選ぶ」→ Combination
- 「5人から会長と副会長を選ぶ」→ Permutation
- つまり、選ぶだけ -> Combination、選んだ後に「誰がどの役割か」まで決める -> Permutation
例: コンビネーション
問題: 22台の製品のうち3台が故障している。無作為に2台取り出すとき、ちょうど1台が故障している確率は?
2つの考え方がある。
- 2つ引いた中で、故障から1台、正常から1台の考え方
- 順番に引く確率を計算して、「故障->正常」「正常->故障」の2通りを加算する
- それ順番に引く確率 × 並び方2通りのcombinationなので以下でもOK
- どちらも19/77
独立と排反
排反とは
- 2つの事象が同時には起こらないことを排反という
- 例えば、サイコロを1回振ったとき、「1が出る」と「2が出る」は同時に起こらないため排反
- 排反な事象同士は、確率・場合の数ともに単純に足し合わせられる(和の法則)
独立とは
- 事象$A$が起きたかどうかによって、事象$B$の起こりやすさ(確率)が変わらないことを独立という
- 例えば、雨が降る確率と傘をさす確率は、雨が降ったら傘をさす確率が上がるため独立ではない
- 独立な場合、両方起こる確率は単純な掛け算になる。詳しくは後述の独立な事象・独立な試行で扱う
排反と独立は別概念
- 排反と独立は似た言葉に見えるが、別の概念。排反かつ両方の確率が非ゼロの事象同士は、独立になりえない
- 独立なら$P(A\cap B)=P(A)\times P(B)$が成り立つはずだが、排反なら$P(A\cap B)=0$なので、$P(A)\times P(B)=0$が要求される
- $P(A)>0$かつ$P(B)>0$ならこれは矛盾するので、排反な事象同士は独立ではない
- むしろ排反な事象は、$A$が起きたと分かった瞬間に$B$が絶対に起きないと確定する、最も強い依存関係を持っている
基本的な確率
確率とは
- 確率とは、ある事象がどれだけ起こりやすいかを、0以上1以下の数値で表したもの
- 試行で起こりうる結果全体の集合を標本空間(全事象)と呼び、$U$や$\Omega$と書く
- 確率には、直感的に以下の性質が成り立つ
- 全事象$U$が起こる確率は1
- どの事象の確率も0以上
- 排反な事象同士(同時には起こらない事象同士)が起こる確率は、それぞれの確率の和になる
- この性質を出発点に、余事象・和事象・条件付き確率といった具体的な計算ルールが導かれていく
基本的な確率の求め方
- 全ての場合が同様に確からしいとき、事象$A$の確率は以下
- $n(A)$は事象$A$の場合の数、$n(U)$は全体(全事象)の場合の数
- サイコロ・コイン・カード・くじのような「全パターンのうち何パターンが条件に合うか」を、前述の場合の数(樹形図・和の法則・積の法則・順列・組合せ)で数えれば求まる
- 「少なくとも1つ」「ちょうど1つ」のような条件は、全体からどの部分を数えるかの言い換えに過ぎない
余事象
余事象の定義
- 事象$A$が起こらない事象を余事象と呼び、$\bar{A}$(または$A^c$)と書く
- 全事象の確率は1なので、以下が成り立つ
- 「少なくとも1つは〜」のような計算は、直接数えると場合分けが多くなりがちなので、余事象(1つも〜でない)から引く方が楽なことが多い
例:余事象の考え方
コインを5回投げて「表が2回以上出る確率」
- 数直線で考えるとわかりやすい
- $X \ge 2$が表が二回以上でる確率なので、$0, 1$の二パターンになる
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例:余事象を使う確率
問題: サイコロを3回振るとき、少なくとも1回は6の目が出る確率は?
- 直接数えると「1回だけ6」「2回だけ6」「3回とも6」を別々に足す必要があり面倒
- 例えば、1回目の6と3回目の6を区別しないのでcombinationになる
ゆえに、以下になる。
$$ {}_3C_1\left(\frac16\right)\left(\frac56\right)^2 + {}_3C_2\left(\frac16\right)^2\left(\frac56\right) + \left(\frac16\right)^3 $$余事象「3回とも6が出ない」を考える方が早い
1回振って6以外が出る確率は$\frac{5}{6}$なので、3回とも6が出ない確率は以下
- 求める確率は、これを1から引く
和事象と加法定理
- $A$または$B$が起こる確率は以下
- $A$と$B$が同時に起こる部分を二重に数えないよう、その分を引く
- $A$と$B$が同時に起こりえない(排反)場合は$P(A \cap B) = 0$なので、以下まで単純化できる
独立性と反復試行
独立な事象
- 独立とは「Aを知っても Bの確率が変わらない」こと
- 雨降る確率と傘をさす確率が合った時に、雨が降った時に傘をさす確率が変わらなければ独立の事象となる
- 当然、雨降ったら傘を指す確率が上がるので、その2つは独立ではない
独立な試行・反復試行の定義
- 事象$A$の結果が事象$B$の起こりやすさに一切影響しない場合、$A$と$B$は独立という
- 独立な場合、両方起こる確率は単純な掛け算になる
- 独立でない場合は、そのまま掛け算にはできないので、後述の条件付き確率を使う
- 独立な試行を何度も繰り返すのが反復試行
- 確率$p$で起こる試行を$n$回繰り返したとき、ちょうど$r$回起こる確率は以下
- ${}_nC_r$が出てくる理由は、$n$回のうち「どのタイミングで$r$回起こるか」の組み合わせの数だから
- 例: コインを5回投げて、ちょうど3回表が出る確率、当たり確率$p$のくじを$n$回引いて$r$回当たる確率など
- この考え方をさらに一般化したものが二項分布
例:反復試行の確率(復元抽出)
問題: 箱に赤玉2個と白玉2個が入っている。1つ取り出して色を確認し、箱に戻す操作を3回繰り返すとき、赤玉がちょうど2回出る確率は?
- 「取り出して戻す」ので、毎回同じ条件(赤2個・白2個、計4個)で引く独立な試行になる
- 1回で赤が出る確率は以下
- 3回中ちょうど2回赤が出る確率は、反復試行の公式に$n=3, r=2, p=\frac{1}{2}$を当てはめる
- 毎回箱に戻す(復元抽出)から、3回とも独立に同じ確率$\frac{1}{2}$で扱える
- もし戻さない(非復元抽出)なら、回を追うごとに箱の中身が変わるので独立にならず、反復試行の公式は使えない(前述の「組合せを使った基本的な確率」のように直接数える必要がある)
同時確率と条件付き確率
同時確率
独立の時の同時確率の定義
独立の時の同時確率は、以下のように定義できる。
$$ P(A \cap B) = P(A)P(B) $$例えば、コインが表になる確率とサイコロの6の出目がでる同時確率は以下になる。
$$ P(A \cap B) = \frac{1}{2} \times \frac{1}{6} = \frac{1}{12} $$同時確率と条件付き確率
同時確率は次のように定義される。
$$ P(A \cap B)=P(B)P(A∣B) $$- コイントスとサイコロのような独立している場合は$P(A|B)=P(A)$だったということ
- つまり、条件付き確率で表す同時確率は一般化した形ということ
同時確率の2つの定義
一般的な定義(乗法定理):
$$ P(A \cap B)=P(B)P(A∣B) $$AとBが独立している場合の特殊形:
$$ P(A \cap B)=P(B)P(A) $$周辺確率
周辺確率とは
- 周辺確率とは、複数の変数の同時確率から、着目しない変数を全て足し合わせて(周辺化して)消し、残った変数だけの確率にしたもの
- $A$・$B$それぞれが起こる/起こらないの2×2で、同時確率の表を作ると整理しやすい
| - | $B$ | $\bar{B}$ | 合計 |
|---|---|---|---|
| $A$ | $P(A,B)$ | $P(A,\bar{B})$ | $P(A)$ |
| $\bar{A}$ | $P(\bar{A},B)$ | $P(\bar{A},\bar{B})$ | $P(\bar{A})$ |
| 合計 | $P(B)$ | $P(\bar{B})$ | $1$ |
- 表の右端・下端(合計の行・列)が、それぞれ周辺確率にあたる
- どちらの変数を固定し、どちらを場合分けして消すかで、2通りの周辺化ができる
① P(A)を求める
$B$と$\bar{B}$で場合分けして、$A$の行を合計する。
$$ P(A) = P(A,B) + P(A,\bar{B}) \\ = P(A)P(B\mid A) + P(A)P(\bar{B}\mid A) \\ = P(A)\{P(B\mid A) + P(\bar{B}\mid A)\} $$- $P(B\mid A) + P(\bar{B}\mid A) = 1$
- $A$が起きた前提のもとでは、$B$か$\bar{B}$のどちらかは必ず起こる
- なので、以下になる
- つまりこれは恒等式で、$P(A)$を求めるのには使えない(右辺に$P(A)$自身が残ったまま)
- 既に$A$で条件付けした確率($P(B\mid A)$など)を使って$A$自身を求めようとしても、堂々巡りになるのは自然なこと
② P(B)を求める
今度は$A$と$\bar{A}$で場合分けして、$B$の列を合計する。
$$ P(B) = P(A,B) + P(\bar{A},B) \\ = P(A)P(B\mid A) + P(\bar{A})P(B\mid \bar{A}) $$- こちらは、右辺に$P(B)$自身が出てこず、$P(A)$・$P(\bar{A})$・$P(B\mid A)$・$P(B\mid \bar{A})$という別の量だけで計算できる
- これが、後述のベイズの定理で分母$P(B)$を計算する際に使う式(全確率の定理)そのもの
- 一般に、事象$A$が$A_1, A_2, \ldots, A_n$のように互いに排反な$n$個に分割できる場合、以下のように一般化できる
ポイント:
- 周辺化したい変数(今回は$B$)とは別の変数($A$)で場合分けすること
- 同じ変数で場合分けすると①のように恒等式に潰れてしまい、意味のある計算にならない
条件付き確率
条件付き確率の定義
- $B$が起こったという条件のもとで、$A$が起こる確率
- 定義は以下
- 例: 100人中女性が60人、女性かつ賛成が36人のとき、「女性」という条件のもとで賛成する確率は$36/60=0.6$
乗法定理
- 条件付き確率の式を変形すると、一般の乗法定理になる(独立でない場合もこちらを使う)
ベイズの定理
- 条件付き確率$P(A \mid B)$と、逆向きの条件付き確率$P(B \mid A)$を結びつける定理
- 定義は以下
- 分母$P(B)$は、$A$が起きた場合と起きなかった場合に分けて計算できる(全確率の定理)
ベイズの定理②
つまり、ベイズの定理は式変形すると、同時確率を2つの形で表しているということ。
$$ P(A \mid B) P(B) = P(B \mid A) P(A) $$条件付き確率→乗法定理→同時確率を2通りに表す→ベイズの定理という流れ。
例:ベイズの定理を使った確率
問題: 良品の確率は98%、不良品の確率は2%。チェック工程で良品を良品と判断する確率は99%、不良品を不良品と判断する確率は99%。不良品と判断されたものが、実際に不良品である確率は何%か?
事象を整理する:
- 真不:本当に不良品である($P(\text{真不}) = 0.02$)
- 真良:本当に良品である($P(\text{真良}) = 0.98$)
- 判不:チェック工程で不良品と判断されること
- 判正:チェック工程で良品と判断されること
Confusion Matrix:
- $P(\text{判不} \mid \text{真不}) = 0.99$
- $P(\text{判不} \mid \text{真良}) = 0.01$
- $P(\text{判正} \mid \text{真不}) = 0.01$
- $P(\text{判正} \mid \text{真良}) = 0.99$
求めたいのは$P(\text{真不} \mid \text{判不})$(不良と判定されたとき、本当に不良である確率)。
まず分母$P(\text{判不})$を全確率の定理で計算する。
$$ P(\text{判不}) = P(\text{判不} \mid \text{真不})P(\text{真不}) + P(\text{判不} \mid \text{真良})P(\text{真良}) = 0.99 \times 0.02 + 0.01 \times 0.98 = 0.0296 $$- ベイズの定理に代入する
- 不良品と判断されたものが実際に不良品である確率は約66.9%
- 検査自体の精度(99%)は高いのに、実際に不良品と判定されたものが本当に不良品である確率は約7割にとどまる。理由は、そもそもの不良品の発生率(2%)が低く、母数の多い良品側から生まれる誤判定(偽陽性)の実数が無視できないほど積み重なるため
条件付き確率の可視化
条件付き確率の例
- P(A) = 雨が降る確率
- P(B) = 傘をさす確率
- これらが互いに独立なら、P(A) = P(B|A) となる
- つまり、独立なら、傘をさす確率 = 雨が振っている時に傘をさす確率
- 他方独立ではないなら、等式にならない
- 条件付き確率は面積で考えるとわかりやすい
- $P(B\mid A) = \frac{\text{AとBが同時に起きる確率}} {\text{Aが起きる確率}} = \frac{P(A\cap B)} {P(A\cap B)+P(A\cap \neg B)}$
- つまり、条件付き確率は面積の割合という事
独立の場合
前提として、次の確率だったとする。
$$ P(A) = 0.40 $$$$ P(B)=0.60 $$
- Aになる確率
- Aにならない確率
- Bになる確率
- Bにならない確率
- また、今回の数値では
- AのときにBになる確率
- AではないときにBになる確率
- 独立の場合
一般的な場合
前提として、次の確率だったとする。
$$ P(A)=0.4 $$$$ P(B\mid A)=0.8 $$$$ P(B\mid \neg A)=0.3 $$
- Aになる確率
- Aにならない確率
- Bになる確率
- Bにならない確率
- AのときにBになる確率
- AではないときにBになる確率
- 全確率の公式からBになる確率を求める
- 今回は独立ではない
したがって、
$$ P(B\mid A)\neq P(B\mid \neg A)\neq P(B) $$なので、AとBは独立ではない。
確率論の基本公式
ベイズの定理までの流れ
- 同時確率は、A が起きた上で B が起きる確率として
- これを \(P(B|A)\) について変形すると、
- また、A が起きている場合は、その中で
- B が起きる
- B が起きない のどちらかなので、
- ②の分子 \(P(A,B)\) に①を代入すると
- \(P(A)\) が約分されるので、
となる(当然)。
- これは新しい公式ではなく、もとの定義を代入して元に戻っただけ。
- ベイズの定理で重要なのは、同じ同時確率 \(P(A,B)\) を逆方向からも書けること。
- A を基準にすると、
- B を基準にすると、
- この2つは、どちらも同じ $A\cap B$ の面積を表しているので、
- ④を $P(A|B)$ について解くと、
これがベイズの定理。
当然、両辺に $P(B)$ を掛けると、
- となり、これは④とまったく同じ意味。
- つまりベイズの定理の本質は、
- という「同じ $A\cap B$ の面積を、A側から見るかB側から見るか」という関係を利用して、
と条件の向きを逆転させること。
- なお、ベイズの定理の分母のP(B)については次のようにとく
- これは面積の合算をしているということ
確率の基本公式のまとめ
周辺確率の表と条件付き確率の表を覚えておくとわかりやすい。
| 項目 | 式 |
|---|---|
| 同時確率 | $P(A,B)=P(A)P(B\mid A)$ |
| 条件付き確率 | $P(B\mid A)=\frac{P(A,B)}{P(A)}$ |
| 条件付き確率の和 | $P(A)=P(A)P(B\mid A)+P(A)P(\bar B\mid A)$ |
| ベイズの前提 | $P(A,B)=P(A)P(B\mid A)=P(B)P(A\mid B)$ |
| ベイズの定理 | $P(A\mid B)=\frac{P(B\mid A)P(A)}{P(B)}$ |
| ベイズの定理の分母(周辺確率) | $P(B)=P(A)P(B\mid A)+P(\bar A)P(B\mid \bar A)$ |
周辺確率はP(B)を求める場合は、P(B)を右辺に入れないのがポイント。
期待値
確率変数
確率変数とは
- 確率変数とは、試行の結果に応じて値が定まる変数のこと
- 例えば、サイコロを1回振ったときの出目を$X$とすると、$X$は1〜6のいずれかの値を確率的に取る確率変数になる
- 事象が「起こる/起こらない」という集合的な捉え方だったのに対し、確率変数はそれを数値として扱えるようにしたもの
- 取りうる値が1, 2, 3, …のように飛び飛びの離散型と、身長・時間のように連続的な値を取る連続型がある
- $P(X=x_i)$のように書くと、「確率変数$X$が値$x_i$を取る確率」を表せる
事象と確率変数の関係
事象・確率変数・指示確率変数(後述)の関係を整理すると、以下のようになる。
- 事象=集合(起こる/起こらないという二値的な捉え方)
- 確率変数=関数(標本空間の各結果に数値を対応させる、一般にはもっと多くの値を取れる)
- 指示確率変数=関数で「事象を0/1の値だけを取る確率変数として表現したもの」
- 指示関数は確率変数の特殊系ということ
期待値
- 確率変数$X$が値$x_1, x_2, \dots, x_n$を、それぞれ確率$p_1, p_2, \dots, p_n$でとるとき、期待値は以下
- 試行を何度も繰り返したときに、平均的にどれくらいの値になるかを表す指標
指示関数(指示確率変数)
指示関数の定義
- 事象$A$が起きたら1、起きなければ0を返す関数を指示関数(指示確率変数)と呼び、$\mathbb{1}_A$や$I_A$と書く
- 定義は以下
- 「試行の結果$\omega$に応じて値が決まる」という確率変数の定義そのものを満たしているので、$\mathbb{1}_A$自体が確率変数になっている(0と1の2値しか取らない、一番単純な確率変数)
例: 指示関数
- 例: サイコロの出目で「偶数の目が出る」という事象を$A$とすると、$\mathbb{1}_A$は出目が偶数なら1、奇数なら0を返す確率変数になる
- 指示確率変数の期待値を計算すると、以下のようにその事象の確率そのものになる
- つまり「事象$A$の確率」と「指示確率変数$\mathbb{1}_A$の期待値」は同じものであり、事象・確率・確率変数・期待値という一連の概念がこの一本の式でつながっている
その他
確率の直感の罠
例:
- 10の中に2つのあたりがあるくじ
- AとBがいる
- Aが先に引いた後に、Bが引く順番でくじを引く
- Bの確率はどうなるのか?
一見、Aが引いた後に、Bが引くから確率が変わりそうだが実際は変わらない。
$$ A=2/10 B=2/10 \times 1/9 + 8/10 \times 2/9 = \frac{2+16}{90} = 18/90 = 2/10 $$つまり、Aさんが先に引いても、Bさんが先に引いても同じということ。
ちなみに、もしAさんの結果をBさんが知れる場合は、総合的には以下になる。
- Aの結果を知った場合:
- $P(Bあたり|Aあたり)1/9=0.111$
- $P(Bあたり|Aハズレ)=2/9=0.222$
- Aの結果を知らない場合:
- $P(Bあたり)=2/10=0.2$
だから、事前条件を知った上だと、より精緻な確率になるということ。
確率の直感の罠②
モンティホール問題は、直感と実際の確率がずれやすい有名な例。
例:
- 3つのドアがある
- 1つだけ当たりで、残り2つはハズレ
- Aさんが最初に1つのドアを選ぶ
- 司会者は当たりの場所を知っていて、Aさんが選んでいないドアの中から必ずハズレを1つ開ける
- その後、Aさんは「最初に選んだドアのままにする」か「残ったもう1つのドアに変更する」かを選べる
一見、最後には2つのドアしか残っていないので、以下に見える。
$$ 1/2 $$しかし実際には、以下となる。
- 最初に選んだドアが当たりである確率は$1/3$
- 最初に選んだドアがハズレである確率は$2/3$
言い換えると、
- つまり、最初に当たりを選んでいた場合、ドアを変更するとハズレになる
- 一方、最初にハズレを選んでいた場合、司会者は残ったハズレを必ず開けるため、ドアを変更すれば必ず当たりになる
したがって、以下となる。
$$ P(\text{変更せずに当たる}) = 1/3 $$$$ P(\text{変更して当たる}) = 2/3 $$- つまり、ドアを変更した方が当たる確率は2倍になる
- ポイントは、司会者がランダムにドアを開けているわけではなく、当たりを知ったうえで必ずハズレを開けていること
- そのため、「最後に2つ残ったから確率は $1/2$ ずつ」とはならない
- 確率を考えるときは、単に残っている選択肢の数を見るのではなく、どのようなルールで情報が得られたのかを見る必要がある
まとめ
- 計算しましょう!
